乳がん検診・治療・再建について|再生医療技術CAL・培養CALによる乳房再建なら横浜のクリニック

乳がん検診・治療・再建について
BREAST CANCER SCREENING /
TREATMENT / RECONSTRUCTION

乳がん検診・
治療・再建について
BREAST CANCER SCREENING / TREATMENT / RECONSTRUCTION

がんのしくみ

がんは細胞のなかにある遺伝子(DNA)が傷つくことによっておこる病気です。
正常な細胞は分裂によって新旧が入れ替わり、古くなったものは自然に消滅しますが、がん細胞は必要がないのに細胞分裂を繰り返して増殖を続けるのです。
がん細胞が増殖すると、発生した臓器やその周囲の組織に障害を与え、さらに血液やリンパ液の流れに乗って離れた臓器にも転移します。

乳がんについて

乳がんは、乳房の中にある乳腺に発生するがんです。
がんは乳腺の中の乳管という部分にできやすく、この乳管の中にとどまっている「非浸潤がん」の段階では他の臓器への転移はなく、 この段階でがんの部分を完全に切除してしまえば完治します。
ただし乳管を破って周りの脂肪組織などに広がった状態は「浸潤がん」という段階で、しこりをつくったり、離れた臓器へ転移する可能性があります。
進行度としては非浸潤がんの方が早期ですが、浸潤がんでも早期に治療を行えば治る確率は十分に高いのです。
乳がんの進行は5段階のステージ(病期)によって下表の通り分類されます。

ステージ0 非浸潤がん
ステージⅠ しこり2cm以下 リンパ節への転移なし
ステージⅡ A しこり2cm以下 腋窩リンパ節への転移あり
しこり2.1~5.0cm リンパ節への転移なし
B しこり2.1~5.0cm 腋窩リンパ節への転移あり
しこり5.1cm以上 リンパ節への転移なし
ステージⅢ A しこり5.1cm以上 腋窩リンパ節への転移あり
しこりの大小は問わず 腋窩リンパ節への転移があり、辺組織に固着、もしくは胸骨内側リンパ節へ転移あり
B しこりの大小は問わず リンパ節転移の有無に関わらず、しこりが胸壁に固着していたり、皮膚に浸潤している
C しこりの大小は問わず 腋窩リンパ節、胸骨内側リンパ節、両方への転移あり、もしくは鎖骨上下リンパ節への転移あり
ステージⅣ しこりの大小は問わず 他臓器への遠隔転移あり

乳がん検診の重要性

乳がんは早く発見し治療すれば、高い割合で治癒できます。そのため、早期に発見することが何より大切です。
早期発見のためには、定期健診が重要ですが、日本の乳がん検診の受診率は欧米と比べてまだまだ低いのが現状です。
日本でも、女性が乳がんについてもっと関心を持ち、日ごろから自己検診をするとともに、自治体などが行っている乳がん検診を定期的に受けることで、より早期の発見が可能になるでしょう。

乳がんの診断

自己検診でしこりを触れた、乳がん検診で異常を指摘されたという場合は、続いて詳しい検査を行って乳がんかどうかの診断をしていきます。
まずは専門家による視触診と、超音波エコー検査、マンモグラフィー検査が基本です。

これらの検査によって乳がんが疑わしい病変が見つかったら、確定診断のために生検を行います。
病変部の組織を一部取ってきて、顕微鏡でがん細胞を確認する検査です。
もし、乳がんと診断された場合、乳がんの広がりや転移の有無を調べます。
すべての検査結果を総合判断して乳がんのステージ(病期)分類が決まり、そこからその後の治療方針が決まってきます。

乳がんに対する3つの中心的な治療について

1.薬物療法

現在、薬物療法は抗がん剤による化学療法、ホルモン剤によるホルモン療法、分子標的薬による分子標的療法の3つに大きく分けられます。


■ 化学療法/抗がん剤

抗がん剤は、分裂や増殖のスピードが速いがん細胞に対して、細胞そのものを損傷させたり、分裂を抑えたりする作用を持つ薬です。
一方では、正常な細胞でも増殖や分裂のスピードが速いものを攻撃してしまうデメリットもあります。
そのため、脱毛・吐き気・嘔吐・便秘・下痢・味覚障害・手足のしびれ・むくみ・白血球の減少といったような副作用が起こることがあります。


■ ホルモン療法

乳がんは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などによって成長し、増殖するという特性を持っています。
この特性を利用するのがホルモン療法(内分泌療法)で、女性ホルモンの分泌を抑える薬剤を投与して乳がんの増殖を抑えます。
ホルモン療法にも、抗がん剤ほどではないものの副作用があります。エストロゲンが抑えられるため、ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、肩こり、気分の落ち込み、イライラなど、更年期障害のような症状が出ることもあります。


■ 分子標的薬

がん細胞が持つ特別なたんぱく質をねらい打ちして、がんを抑える薬剤を分子標的薬といい、それを用いる治療法が分子標的薬治療です。

2.放射線治療

放射線治療は、がん細胞や局所に放射線を照射して、がんの増殖を抑えたり死滅させたりする治療法です。
がん細胞は、正常な細胞に比べて放射線に弱く、そのダメージから回復するのに時間がかかります。
その性質を利用して、放射線を毎日すこしずつ局所照射することで効率よくがんを死滅させられるのです。
そして乳がんは、放射線治療が効きやすいがんのひとつです。治療は、主に乳房温存術の後に行いますが、乳房切除術の後に行う場合もあります。
放射線治療は一般的に手術して退院後に通院で行われ、副作用として皮膚の赤み、組織の硬化・萎縮などの症状が長期間にわたって出ることがあります。
このため、乳房再建をする場合に皮膚の伸展不良や皮弁の萎縮などを起こすことがあります。その結果、再建方法が限られたり、再建後の乳房が変形したりすることがあります。

3.乳がん手術

現在、行われている乳がん手術は、大きく分けて「乳房温存術(乳房部分切除術)」と「乳房全摘術(乳房切除術)」の2つに分けられます。
さらに乳房全摘術には、切除する範囲によって「胸筋温存乳房切除術」と「皮下乳腺全摘術」があります。

以下、それぞれの方法について解説します。


■ 乳房温存術/放射線治療との併用が一般的

乳房温存術は、乳房全体ではなく、がんを含めた乳房の一部を切除する手術で、ステージ(病期)が0期、I期、Ⅱ期の早期乳がんに対する標準治療です。
1990年代、乳房温存術後に放射線治療を組み合わせれば、生存率は乳房切除術と変わらないというデータが出されてから、乳房を残せる乳房温存術への期待が高まり、手術法として増えたようです。
乳房温存術は、乳房内の再発のリスクを高めることなく、患者さんが満足できるきれいな乳房を目指して行われます。乳房温存術の適応基準は、「しこり(乳がん)の直径が3cm以下」「がんが大きく広がっていない」「多発がん(がんが複数ある状態)ではない」「術後の整容性(美しさ)が期待できる」などです。
なお、がんが完全に切り取れて、きれいな乳房を残せると判断した場合は、がんの大きさが3cm以上でも乳房温存術の対象となりえます。
ただし、たとえば3cmのがんの場合、その周囲の組織も合わせると直径7cmの範囲を切除することとなり、乳房温存といっても想像以上に変形することがあります。
術後の変形のために乳房再建を希望される場合、放射線治療の影響があるため再建が難しくなっている場合もあります。


■ 乳房全摘術/主流は胸筋温存乳房切除術

乳房全摘術は、「がんが3cmより大きい」「乳がんが乳腺内に広がっている」「がんが多数あり、同じ乳房内の離れた場所にある」「乳房温存術の後に何らかの理由で放射線治療が受けられない」「患者さんの希望」などの場合に適応されます。
乳房全摘術の主な術式には、「胸筋温存乳房切除術」と「皮下乳腺全摘術」とがあります。
胸筋温存乳房切除術は、乳腺と一部の皮膚を切除し、基本的に大胸筋・小胸筋(胸の筋肉)は取らずに残す方法です。
現在、胸筋温存乳房切除術のほうが普及しており、乳房切除術といえば、こちらを指します。
かつては、乳房全体と大胸筋・小胸筋、わきの下のリンパ節まで切除するハルステッド法という手術法が盛んに行われていました。その後、検査の進歩とともに小さながんを発見できるようになったこともあり、現在では、胸筋温存乳房切除術が標準治療になっています。
皮下乳腺全切除術は乳房の皮膚を残して中の乳腺だけを切除する方法で、乳頭や乳輪を残せるかどうかはがんの進展状況によって決まります。

乳房再建の意義

がんの治療のために必要なこととはいえ、乳房を手術で失ったり、変形が残ったりすることは、女性の患者さんにとって体と心の大きな痛手となります。
乳房の喪失感や、「人の目が気になって温泉に入れなくなった」「胸の大きくあいた洋服が着られなくなった」「なくなった胸を見るたびに乳がんのことを思い出してつらい」など患者さんはそれぞれ切実な悩みを抱えるようになります。
「乳房再建」は、そうした病気によるつらい思いから解放されて、当たり前の日常生活を取り戻したい、そして、きれいな乳房を取り戻したいという、患者さんの願いをかなえるための手術といえます。
乳房再建を行う場合、決めなければならないことが大きく2つあります。
ひとつは「いつ再建するか」という「時期」について、2つ目は「どの方法」で再建するかという「方法」についてです。

「いつ」再建するか? 一次再建と二次再建

乳房再建は、行うタイミング(時期)を選択することができます。ひとつは、乳がん手術と同時に乳房再建の手術を行う場合、これを「一次(同時)再建」といいます。
これに対して、乳がん手術後、しばらく時間をおいてから行うものを「二次(待期)再建」といいます。
一次再建は、乳がん手術と同時に乳房再建をスタートするため、二次再建より手術の回数が1回少なくてすみます。
その分、患者さんにとって身体的、経済的な負担が軽くなりますし、乳房の喪失感を感じる期間も短いことになります。
一次再建のデメリットは、患者さんが情報収集したり検討したりする時間が少ないことです。また切除手術の直後で、皮膚の血行や内部の傷の状態が不安定なこともあり、一次再建が難しい場合もあります。

次に二次再建は、手術後に体が回復してから、時間的なゆとりのあるときにいつでも再建できるので、再建よりも、まずは乳がんの治療に専念したいという人に向いています。
時間のゆとりがあるので、情報収集や検討にも時間をかけられ、医師や医療施設をじっくり選べるということもメリットです。
一方、デメリットとしては、手術の回数が1回多くなり、一次再建よりも経済的に負担がかかります。また、再建までは乳房のない状態で生活しなければなりません。

どの方法で再建するか?

現在、広く知られている再建方法には、「自家組織再建(皮弁法)」と「乳房インプラント再建」があります。
また、自由診療での脂肪注入による再建や、当院が提供している脂肪幹細胞を加えた脂肪注入(CAL)による再建も選択肢としてあります。
どの方法を選ぶかは、乳がん手術の種類、術後の補助療法、皮膚と筋肉の状態、乳房の大きさ、乳がん手術後に残っている組織量、反対側の乳房の大きさ・形態などを考慮して決めることになります。
さらに患者さんの希望や社会的な背景なども考えに入れます。
例えば、これから結婚・出産をする可能性の有無や、仕事・家事の都合によって入院は可能か、長期の休みを取れるかといったことから、体型、性格、既往歴(それまでの病気歴)によっても方法は違ってきます。

以下のページでは、脂肪注入や幹細胞付加脂肪注入による再建や、保険診療による乳房再建治療の自家組織再建(皮弁法)、乳房インプラント再建、について紹介いたします。
(当院の幹細胞付加脂肪注入による再建については、本HPの「再建治療」のページをご参照ください。)

(以上の情報は、書籍「もっと願いをかなえる乳房再建」/辻直子著(セルポートクリニック横浜 前院長)/2016年9月初版」より引用または参考のうえ作成しております。)